主人のいないエグゼクティブデスクを見ながら、ほうっと息をつき、私は広げた書類に目を戻す。
WLB推進室のリーダーとして手始めに行ったのは、勤務実態を探るための本社の社員を対象にしたアンケートとヒアリングだ。結果を集計しながら、ミーティングルームで話を聞かせてくれた同僚の顔をひとりずつ思い浮かべる。
今回のヒアリングで、私は同じ会社で働いているのにもかかわらずこれまで彼らとほとんど話をしてこなかったことに、あらためて気づいた。
先輩や同期、後輩たちともろくにしゃべったことがなかったから、ヒアリングの最初はぎこちない会話しかできなかった。でも話をしていくうちに、彼らがどんな思いで仕事に取り組んでいるのかを聞くことができた。

