「鷹野社長は」 「え?」 「ありのままのご自分をあなたにお見せしたいと、おっしゃっていました」 いつも必要以上のことを口にしない戸上さんが、無表情のままそう言って、呆気に取られた。ぽかんとしている私からふいと顔を逸らし、彼は毛足の長い絨毯の上を歩き出す。 「失礼します」 足音を立てずにドアの外に消えていく背中を、じっと見送った。広い社長室にひとりになってからも、私はしばらく動くことができなかった。