「鷹野社長、なんていい男なの! めちゃくちゃ好み!」
アイドルに声援を送るみたいに、みどり先輩は今にも手を振り上げそうな勢いだ。
「うるせえ中越、静かにしろよ」
後ろの列の安西先輩から厳しい声で言われても、彼女の興奮は止まらない。
「この会社に入ってよかったって、今はじめて思ったわ! ね、桜井ちゃん」
同意を求めるように、みどり先輩は私の肩をバシバシ叩く。
就任スピーチよりもみどり先輩の攻撃のほうに気が行ってしまい、ほとんど話を聞き取れないまま、新しい社長は挨拶を終えて壇上を去ってしまった。
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