確かに、アシスタント業務は誰でもできる仕事だけど、あまりにも急すぎない? WLB対策が急務なのもわかるけれど、こじつけのような気も……。
ぐるぐる考えていると、社長が私の思考を見抜いたように言った。
「俺はしばらく会議続きでほとんどここにはいない。残念だが、顔を合わせるのは一日のうち、ほんの数十分程度だ」
顔が熱くなった。私を見てふっと表情を崩し、彼は立ち上がる。腕時計に目を落とすと、長い脚をこちらへ踏み出す。
「なにかあれば、戸上に言え」
すれ違いざまに私の頭をぽんと叩くと、社長秘書と短くスケジュールを確認して、広い背中は社長室を出ていった。
入口脇でいまだに呆然としている私をちらりと見て、戸上さんは涼し気な視線を室内の奥へ向ける。

