連れられるままセキュリティチェックを通ってビルに入ると、天井の高いエレベーターホールに出た。重厚な造りの壁に挟まれた通路に大勢の人が並んでいる。
その脇をさくさく通り抜けて、留学生の彼はえんじ色の服を着た係員にチケットを見せた。優先的に案内される私たちを、多くの人たちの視線が追ってくる。
「並ばないの? それとも、あの人たちとは行先がちがうの?」
少し不安になってセーターの裾を引っ張ると、彼は得意げな顔で振り返った。
「Ta-da!(タダ―!)」
じゃじゃーんというような効果音めいた声を出して私に見せたチケットには、『Express Pass(エクスプレスパス)』という表記がある。

