短い列に並ぶとすぐに順番が来て、彼は窓口のスタッフにお金を払い、なにやらチケットを受け取っていた。
「ぎりぎりだな。急ごう」
そう言うと、彼は説明する暇もないというように慌ただしく私の手をつかみ、走り出す。
「あ、あの」
たどり着いたフェリー乗り場でわけがわからないままセキュリティチェックを受け、たくさんの観光客とともにフェリーに乗り込んだ。
「どこに行くの……?」
デッキの上で少しずつ遠のいていくマンハッタンのビル群を眺めながら、少しずつ不安がこみ上げた。
このままどこか知らない国に連れていかれて、売り飛ばされたりしないよね……?
自分でついてきたくせに、空が暮れかかっているせいもあってか、急に寂しさを覚えた。

