陽が落ちて、気温が一段と下がってきたのだ。通りを見ればダウンジャケットを着ている人もいるのに、私に上着を貸してしまった彼はセーター一枚だ。 「ごめんなさい、これ、返します」 着込んでいたモッズコートのファスナーを下ろそうとする私に、彼はあわてて言う。 「いや、それは着てて。君の格好はさすがに目立つし」 そう言って、背負っていたリュックからマフラーを取り出して自分に巻き付ける。でもそれだけでは絶対に寒いはずだ。彼は皮下脂肪も少なそうだし。 そこまで考えて、あっと思い出す。