俺はゆっくり頷いた。

「よかったっ……」

楓花に微笑んだあと、俺は耳をすました。

院内に響く子供の声。

看護師さんが名前を呼ぶ声。

走る音、歩く音。

聴こえる。

「音って、楽しいんだね」

「うんっ!すっごく楽しいのっ! 」

音のない世界と音のある世界。

どちらも怖いって思っていたけど、怖くないんだ。

楽しいんだ。