「少しだけど、聴こえるし……完全にって……それだけはーー」

ーードンッ

「つっ!!!……っ!!!」

いきなり倒されて、背中に痛みが走った。

目を開くと、上には目に涙を溜めた楓花の顔があった。

「そんなことっ!!!言わないでよっ!!!聴こえなくなる確率はっ!!!少ないんでしょ!!?だったら!!!あきらめないでよ!!!」

腕を掴む手に、力を込めた楓花。

「このままでいいとかっ……そんなこと言わないでよっ!私はあきらめないでほしいっ!あの時私を助けてくれた陽稀くんはどこにいったのっ?」

「……っ!」

楓花っ……