「昨日父さんに、手術のことを言われたんだ……」

“手術?”

俺は頷いた。

「手術すれば、俺の耳は聴こえるようになるかもしれないんだ……」

“じゃあ!”

顔を輝かせた楓花を見ながら、俺は首を横に振った。

「失敗すれば、完全に聴こえなくなるかもしれないって……」

「……っ!」

そりゃ、驚くよな……

「もう俺、どうすればいいんだろ……成功すれば聴こえるようになる……だけど失敗すれば……」

俺は楓花の顔を見た。

「完全に聴こえなくなる可能性があるなら、このままでもいいかな……」

「……っ!」