「ありがとう、楓花……」

ニコッと笑い、怒りを含んだ顔で男子を睨みつけた。

なにか言い合ってるみたいだけど、男子は俺と楓花を見ていた。

もう限界だった。

「なに言ってんだよ……」

「「「……!?」」」

「いくら言っても、聴こえないんだよ……」

なにを言われても、分からない……

「俺には聴こえないんだよ!楓花の声や、家族の声も!お前らの声だって!風の音も雨の音も!なにもかも!」

楓花は、涙を流していた。

「だけど、それがなんだよ!悪いことじゃないだろ!聴こえなくても同じ人間なんだ!差別することないだろ!」