〈怖かったから……〉

「ご、ごめん……」

〈大丈夫。 陽稀くんのおかげで、怖くないって分かったから〉

「楓花ちゃん……だけど楓花ちゃん、髪まとめないで」

「え?」

「そ、その……」

可愛いからって……

誰にも見せたくないからって、言えるわけがない……

「な、なんでもだよ」

「……?」

「ほら帰るぞ。雨降りそうだ」

俺は歩き出した。