キングサイズの天蓋付きベッド。全ての壁は白で統一され、広々とした部屋が更に広く見える。大きく煌びやかなシャンデリアに照らされる室内。


静寂に包まれる室内で、天蓋付きベッドの天井を訝しげに見つめる少女_眞鍋 翼(まなべ つばさ)は自分の置かれた状況を自分なりに理解しようと頑張っている。


手を広げ、足を広げ混乱する。混乱するのも無理はない。何故なら彼女_翼が寝る時に使っている自室のベッドはシングルサイズでそんなことをすれば余裕でベッドからはみ出してしまう。そしてヒラヒラした天蓋など付いていない。



「ここ…どこ……? 夢……?」



思わず出る呟き。


寝転がったまま首をかしげるが、頭が沈んでしまうほどフカフカな枕が邪魔をする。


体を起こし、自分の服装を見てほんの少しホッとした。星柄のキャミソールとショートパンツのタオル地のセットアップは、翼が一目惚れして買ったパジャマだ。


翼はベッドから降り、部屋の中を見渡した。見たこともない高価そうな家具やオブジェに圧倒される。キョロキョロと首を動かし見つけた窓。吸い込まれるかの様に窓目掛けて走った。



「まだ夜? 暗くてよく見えない……」



固定窓の為開けられない。それでもなんとか外の様子を確認しようと、翼は頬っぺたと唇をくっつけ、顔を崩しながらも目を細め外を凝視した。