「チョコ?……ああ、あの返事なら、もうした気分になってたよ」
「したって?」
「もらうつもりになってた」
…え、嘘。
「じゃあって言ったら、もらうって思うでしょ」
「思わないわ!……ちゃんと言わなきゃわかんないよ」
「うん、そうだね。ごめん」
細野はずうっと優しくてあったかい。
その温もりをそっと離されて。
「じゃあ、帰ろっか」
「え、帰るの」
もう?
早くない?
もっと触れていたいのに。
「だってここだと目立つでしょ」
あ、ここ…教室だったね。
忘れてたよ。
そして、もうすでに目立ってるよ、細野。
急にみんなの視線感じてとても痛い、よ…。
「もっとラブラブしろよー」
「ぜってえあいつら両思いだろ。さっさとくっつけ」
「ほら、野次馬うるさいから帰ろ」
さっと、手をだしてくれたから。
君の手を握る。



