でも、こんな風に八木さんと話ができるようになったのは、御園生さんのおかげなんだよね。

複雑な気持ち。

「橘さん、ごめんね?御園生の口の悪さは昔からで……」

八木さんに謝られても困るんだけど、それだけ二人が仲がよいという証なのかも。

「慣れちゃいました」

アハハと笑う私に八木さんも、慣れ、必要だよね。と笑った。

「だぁれが口が悪いって?」

御園生さんはすねた様子で、八木さんを肘でつついた。

「お仕事では違うんでしょうね」

営業という部署で、素のまま喋ったら大変だよね。

「そりゃあ、仕事相手と、綺麗な女性の前では違うのが当たり前だろ。違わないのは八木くらいなもんだ」

「ヒデェ。俺だって使い分けるコトくらい出来るよ」

「お前にそんな高尚な技できたっけ?」

からかうような御園生さんの台詞にすねている八木さんを見るのも、新鮮。

本当に仲良しなんだなぁ……。

テーブルにつき、カレーを食べる彼らを見ながらなんだかすごく楽しい気持ちだった。

「ちょっと……どういうこと?付き合うことにでもなった?」

私の肩を掴んで花田さんが興奮した様子で、聞いてくる。

「ち、違いますよっ、昨日偶然社外で会って……」

「……会っただけ?」

不意に高めの甘い声が、響く。