『明日、18:00着の「のぞみ」でこっち帰って来るらしい。明後日の月曜日から出勤するとの事。小幡』

自分で進まなきゃと思いながら、やっぱり待つだけしか出来なかったのは歯痒かったけど。

あの日、皆に背中を押されて、御園生さんに想いを伝えると決めてから、3日が過ぎた。

そして……今日。

小幡さんからメールが届いた。

明日、帰って来る。

御園生さんに会えるんだ。

『嬉しい』

素直にそう思った。

胸が熱くなって、キュウッと締め付けられる。

行こう。

……と思った。

小幡さんが送ってくれたメールには、月曜日には出勤するとあった。

でも、それまで待つなんてイヤだと思った。

だって、明日には帰って来るんだよ?

駅にいけば、会えるんだよ?

会いたい……から。

私が御園生さんに会いたいから……。




クローゼットを開けて、中から1着のワンピースを取り出す。

藤色の絹のワンピース。

7cmのハイヒールも大事にしまっている。

ファーのついた白いコートを隣にかけた。

このワンピースを、彼のためだけに着る事を望む日が来るなんて思いもしなかったけど。

『似合ってる』

私の名前を呟き、そう言ってくれた。

自分ではこんなカッコ、全然似合わないし、大キライだと思ってた。

でも、御園生さんが似合うと言ってくれるのなら、これが彼の好みなら、このワンピースを着て彼に想いを伝えたいと思った。