そう言われても、俺にはよくわからなかった。



お見舞いに来てくれた日と、退院してからお礼を言いに行った日。




数える程しか会ってないのに…何で?





…そう思ったけど。




死ぬかもしれなかった命を救ってくれたのは、紛れもなく目の前にいるこの人。




この人に恩返ししなければ…




そんな思いで、交際を始めたんだ。





でも、段々と佐里と一緒にいるのがごく自然になってきて、いつしか結婚の話が浮上し…




三年前、ようやく俺たちは結婚した。




副社長も親父も、すごく喜んでいた。




この二人にも恩返しできたのかな、と思った瞬間だった。




新婚生活が始まり、俺はそれなりに佐里を大切に想っていたし、これが幸せだと思ってたんだ。






…由奈が入社するまでは。