それから、依然として足取りのおぼつかない先生を、家まで送り届けた俺。




「ごめんね、家まで付いて来させちゃって…」



「この足取りじゃ心配だからね。」





先生の部屋は、一人暮らしの女性の部屋って感じの、可愛らしい内装だった。





「ごめんね、こんな会ったばかりなのに色々と迷惑かけちゃって…。教師失格だね…」





そのソファにちょこんと座り、反省モードの先生。




思わず笑ってしまった。




「…相澤くん?」




「いや、さっきから謝ってばっかだなと思って。迷惑なんて思ってないし、むしろ…早くもいろんな先生を知ることができて嬉しいと思ってるよ。」




そう言って、ソファの隣に腰掛ける。





「それに…先生の元彼に感謝だよ。もし先生が今も付き合ってたら、俺なんかが告白しても、先生は浮気するようなタイプじゃないでしょ?だから、こうやって俺を見てくれたことは、偶然が重なった奇跡なんだなって。」




隣に座る先生と目が合う。





「…明日から卒業までは、ただの先生と生徒。だけど今日だけは…名前で呼んでもいい?俺のことも、名前で呼んでほしい…」




そう言って、先生の頰に手の平を添える。