「もうっ…」




そうやって怒ったふりしながらも、本当はこうして思い出づくりをしてくれたことが嬉しかった。





だけど、これ以上キスしてたら、本当に止まらなくなっちゃいそう…。




私の思いが伝わったようで、最後に陽がもう一度キスをくれて、立ち上がった。




「この続きは3日後ね。それまで、ここのシルシが消えないといいけど。」





そう言って陽が、自分の鎖骨辺りをトントンと叩きながら、にこりと微笑んだ。







そして、そのまま去ろうとした陽の背中に、思わずギュッと抱きついてしまった。




「……瑞穂?」





「………また3日後に…ね。」




「…ああ。」




そっと回した腕の力を緩めると、陽は私の頭をポンポンして、図書室を出て行った。





そんな陽の後ろ姿を見ながら、ふうっとため息をつく。




最後…




“また3日後にね”って言った時。




本当は“大好き”って言おうとしてたの。





だけど、それは彼が卒業して、私の生徒ではなくなった時に言おうと思って、必死に飲み込んだ。





これから、毎日ここに来る度に、今の甘いキスを思い出すんだろうな。






「……大好きだよ、陽。」





彼が出て行った扉を見つめながら、そう呟いた。








【おわり】