「学校で会えなくなっちゃうのは、ちょっぴり寂しいんだけどね。」




私がそう言うと、彼はフッと笑って言った。




「卒業まで教師と生徒で…って言ったけど、今だけ…その約束破っていい?」





「え…?」




そう言って彼は、静かに席を立ち図書室の奥へ歩き出す。





「どうしたの…?」




その後ろ姿を追いかけると、彼が突然しゃがみこんだ。




「ちょ、陽!?」




まさか貧血?立ちくらみ?




びっくりして思わず彼の名前を呼んでしまったことも気づかないくらい心配で、私もしゃがみこむ。




すると…





「つーかまーえた。」



気づけば、彼の腕の中にすっぽりと収まっていた。