呆気にとられぽかんと口を開けるまぬけ顔のわたしをよそに、彼は端正な顔立ちを崩さぬまま続ける。 「僕、難波美都っていいます。フィギュアスケーターです。これ、連絡先なので また連絡します。」 いつ書いたのか、ちいさな無地のメモ帳には名前と電話番号だけが綺麗な字で綴られていた。 くるりと踵を返す彼にわたしは慌て、無理やり開いたままだった口を閉ざし、口内を湿らせた。 「えっ、あの、ちょ、ちょっと待ってください!わたし、まだ!あの何も!」 「すみません、急いでて、また連絡しますから」