彼はそれをおおよそ5分ほど見つめた後、くるりと振り返って誰かを探しているようだった。


目が合ったら気まずいから、と わたしは何にも気づいていないふりをして、空を見上げる。



青くて、雲がひとつもない。


わたしは夏空が嫌いだ。




ふとまたネガティブになりそうになった時、先ほどの彼が わたしの胸あたりを見つめているのを感じた。




すると ずんずんこちらへ歩み寄ってくる。


驚きや動揺より 恐怖が勝って、わたしはすこしあとずさりをする。