先輩は私の、青空ヒーロー。


「部長、先生が車回してくれるって」


野球部のマネージャーと一年数人を連れて先輩を部室へ連れて行く。

先輩の左肩は、右肩の半分も上がらず回そうとすると痛むようで、本人は大丈夫だと聞かないので手の尽くしようが無かった。


「テーピングの方法だけマネージャーと一年に教えといて」

先輩が部員たちにそう指示すると、上の服を脱ぎ背中を皆に向けた。その大きくて逞しい身体は、背負うものが多すぎるのだ。


あの先輩が、私の音色を甲子園に連れて行ってくれる。

そう思うと胸が熱くて苦しくて、涙が込み上げてきた。
夏の暑さに滲む汗のように、自然と流れてくる涙。