「ねぇ、君は甘いもの好き?」

唐突に聞かれた。目の前にいる、佐藤彩香(サトウアヤカ)という女子に。


***


教室の外から、野球部の掛け声が聞こえる。

今は放課後。太陽が山にすっぽりと隠れそうで夕日がとても綺麗だ。

と、まぁそんなことは今はどうでも良くて目の前にいる佐藤をちらりと見る。

佐藤は塩がかかってるポテトチップスを頬張りながら僕の方を見てくる。

そんなに見られたら流石に恥ずかしいんだけど。

少し沈黙が続いて僕はさっきの質問に答えた。

「好きだけど…。それが何?」

佐藤の目をしっかり見て答えた。

そこからも沈黙が少し続いた。外からまだ野球部の掛け声聞こえる。

僕と佐藤は見つめあったままだった。

そして沈黙を破ったのは佐藤だった。

「…ふふっちょっと意外。」

少し笑いながら言うものだから、少しだけ睨んでやった。

「…佐藤がポテトチップスとか食べてるのも意外なんだけど。」

嫌味かもしれない。けど僕だって少しだけバカにされた気分だったのだ。

そこはまぁ、許して欲しい。