ピピピピピ…



頭上で音が鳴る。



重い瞼を擦りながら、その音の発信源の上のボタンを半ば強めに押すと音は鳴り止んだ。



6時30分。



昨日、録画しておいたドラマを夜遅くまで見ていたせいか、ベッドから離れられない。





5分ほどかけてやっとベッドから起き上がった私、虎峰 紗季(とらみね さき)は、部屋のカーテンを開け、まだ少し薄暗い朝に向かって大きく背伸びをした。



部屋のドアを開けると、何やら香ばしいほんのり甘い匂いが。



今日の朝ごはんはフレンチトーストかな。多分。




パジャマ姿のまま私は階段を降りた。