キーンコーンカーンコーン…



「あ...戻らないと...。」



教室に戻る足取りはとても重たかった。



向かったのは教室のはずだったのに、気がつけば空き教室の前に着いていた。



なんでいつもこうなんだろ。



逃げるつもりなんてなかった。



ほんの少しだけ入りにくい教室を避けてしまっただけ...。



頭の中で言い訳ばかり思い浮かべて、さっきまでの変わりたいなんて気持ちは何事もなかったかのように消えていた。



ーーガラっ



誰の視線も気にしなくていい。



誰かのヒソヒソ話に耳を塞がなくていい。



そんか誰もいない教室に安心感を覚えた。



「ふぅ。」



「あのさ、入るのか入らないのかはっきりしてくれない?」



授業はもう始まっているはずなのに突然後ろから話かけられて異常なくらい驚いてしまった。



「え!?...柳田くん。え、あの、ごめんなさい。」



今一番会いたくない人に会ってしまった。



最悪だ...。