「ねぇ、もう一個だけいいかな」
不意に近づいてくる南雲。
あぁ、本当にかっこいいな。
真っ赤な顔を見られたくなくて、視線を下に移す。
「あのさ、キスしたい。」
この言葉で、どこかに飛んでいた意識が戻ってきた。
俯けてた顔を上げたら、南雲との距離はわずか。
真っ赤な顔をした私たちを他人が見たら、何してるのって話だけど。
お互いに目を離さず、ただ見つめ合う。
「…早崎は?」
近づいてくる南雲は最後の質問を私に投げかける。
質問の答えなんて、私の顔を見れば一発でわかるだろうに。
「…したい」
そう言葉を発したのと同時に私の唇は塞がれた。
8月が終わり、9月が来た。
そんな夏の終わり。
君との初めてのキスは、夏の香りが漂うソーダ味だった。
end

