Mとその菊乃の話を詳しく聞いたんだ。

特徴はおかっぱ頭で 服装は真っ赤な振袖に真っ赤なぽっくりを履いてるって言ってた。

それ以前に仲間を傷つけた事に 俺は腹が立ったんだよ。

K「Mを傷つけたその菊乃ってやつを俺は許せない 霊だろうがなんだろうが」

Т「落ち着け K 俺達じゃ 対抗できないだろ? 」

I「Kがここまで怒るの 初めて見たよ」

Т嫁「あの・・・良くわからないんだけど」

俺は頭に血が上ってしまい Тに抑えられた。

Т嫁は さっきからよく分かって居らず 困っていた。

K「すまん Т そうだよな・・・俺達じゃ霊には何にも出来ないんだもんな・・・」

俺の怒りは すぅーっと冷めて 正常な状態に戻ったんだ。

それから 暫くMと雑談して 面会時間が終わったので Mの病室から出て 旅館に戻ったんだ。

それから 夜になり俺は考えてたんだ 人を殺そうとする霊をこのまま野放しにしていいのかと。

難しい顔をしていると Iが心配そうな表情をしてるんだ。

I「K まさか 1人で行こうとしてないよね?」

K「ん?ああ 行かないよ」

I「ならいいんだけど・・・今回は触らぬ神に祟りなしだよ」

とIに釘を打たれた・・・けど やっぱり俺は許せなかったんだな 危険なんだけど 仲間がああなった手前 引くわけにはいかないんだ。

誰にも伝えずに 皆と楽しんで夕飯も食べ 自分たちの部屋に戻った。

K「そろそろ寝ようか I」

I「うん おやすみ」

俺達は 布団に潜ると Iは疲れているのか 直ぐに寝息が聞こえてきたんだ。

すぅすぅと 寝息だけが聞こえてくるんだ。

それから 約1時間たって 22時になった時 俺は起き上がり そーっと部屋から出たんだ。

部屋から出る時 起きてないか確認すると すぅすぅ聞こえたから ゆっくりとふすまを閉めて 廊下を歩いて玄関にむかったんだ。

K「よし 気付かれずに出られた」

旅館の外に出ようとすると 後ろから声をかけられた。

「K!」

俺はビクッとして 振り返ると そこには Tが立ってたんだ。

K「ビックリしたな Тかよ」

Т「どこ行くんだよ?」

K「ちょっと散歩行くだけだよ」

俺は 誤魔化して 歩きはじめると Тも着いてきた。

Т「散歩じゃないだろ? その菊乃ってのを探しにいくんだろ?」

K「なんだよ バレてたか 」

Тに見つかるとは思わず Тも行くと言い出したんで 二人で行くことにしたんだよ。

温泉街は 時間が時間で人がまばらで 歩きやすかった。

たしか Mの話ではこの先に居たって言ってたなと思い 目をこらして 探したんだ。

K「たしかここら辺なんだけど」

Т「K あそこ」

Тが指さす方を見ると 小さな女の子がいたんだ。

Mが言っていた特徴とピッタリの特徴だった。

おかっぱ頭に真っ赤な振袖とぽっくり。

K「Mの言った特徴 そのまんまだ」

Т「どうする?」

その少女は 微動作もせず 立ってるんだ。

俺達は その少女の方に歩いて行くと 少女は 急に走り出したんだ。

カッカッカッ!

下駄なのに有り得ない速さなんだ。

K「嘘だろ・・・」

Т「あんな下駄履いて あんな速さで走るのはおかしいだろ」

と言いながら 見失わないように 俺達も全力で走り始めた。

周りからは 変な目で見られるが気にせず追う。

こっちはスニーカーで走りやすいのに 全然差が縮まらないんだ。

そんなこんなで 追っかけてると Mが言ってた 石階段が見えたんだ。

Т「Mが言ってた 石階段だ!もうあんなとこにいやがる!」

K「Mと同じルートを通ってるのか?」

何も気にせず 追いつく事だけに必死だったから 気づかなかっが Mが言ってたルートを通っていたんだ。

ゼーゼー言いながら 石階段を駆け上がると 少女の姿が見当たらないんだ。

これも Mの話と同じだ 周りに気を配りながら 神社の周りを探す。

しゃがんで神社の下を見た時 ある物を見つけたんだ。

ぽっくりだ・・・ボロボロの赤いぽっくり 片方だけ 砂からはみ出して半分外に出てるんだ。

K「Т!ちょっと来てくれ!」

俺は 別のところを探してる Тを呼ぶ。

Тは 直ぐに飛んでたんだ。

Т「何か 見つけたか?」

K「ちょっと見てくれよ あの少女が履いてたぽっくりにそっくりじゃないか?ボロボロだけど」

Тは しゃがみ 神社の下を覗く。

Т「ああ あのぽっくりだ でも何で?こんな所に?」

K「なんでだろう わからん」

そう そのぽっくりを見ながら話してると 後ろから突然話しかけられた。

「ねぇ」

その声に ビクッとして後ろを見ると 菊乃が真顔で俺達の後ろに立ってるんだ。

K「うわぁ!」

Т「うおっ!!」

菊乃「それなんだかわかる?お兄ちゃん達」

菊乃の言葉が理解出来ずに 黙っていると菊乃は クスクス笑い こう言ったんだ。

菊乃「クスクス・・・私ね・・・ここで殺されたの・・・ギャァァァァァ!!」

突然の耳をつんざく様な悲鳴っていうか 断末魔?みたいな叫び声を上げる。

K「Т・・・これは・・・」

Т「ああ・・・マジでヤバい」

悲鳴だか断末魔を上げる 菊乃の首が少しづつ 切れていくのだ。

菊乃「ごぷっ・・・ずごぉーずごぉー・・・」

首から大量の血を流し 声帯を切られて言葉が発せられないのか 嫌な呼吸音だけするんだ。

K「く・・・首が・・・うっ!体が動かない」

Т「俺もだ!全く動かない!」

俺達は 目の前の恐怖に金縛りになってしまい その悲惨な光景から目が離せないんだ。

菊乃の首は切れ続け 頭と胴体が切り離され ボトっと首が地面に落ちた。

そして 落ちた首が 目をカッ!と見開いて 叫んだ。

菊乃「わだじは・・・こうごろざれだのぉぉぉぉぉ!!」

K「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

俺は絶叫に近い悲鳴を上げて 気を失いそうになるのを耐えたんだ。

その首は 目を見開いたまま 俺達を見ながら 笑うんだ。

菊乃「クスクスクスクスクスクスクスクスクスクス」

その光景が 余りに怖く 脂汗がダラダラと流れたんだ。

K「まさか・・・この神社の下に・・・?」

Т「あのぽっくりの下に・・・」

菊乃「クスクス・・・クスクス・・・掘ってみたら?」

菊乃がそう言うと ふっと金縛りが解けた。

K「Т・・・」

Т「ああ 」

俺とТは しゃがみ 手で地面を掘ると 赤い布みたいなのが見えた。

K「はぁ・・・はぁ・・・」

Т「K!赤い振袖じゃないか?それにこれ・・・」

掘り進めると ボロボロになった赤い振袖の近くに骨っぽいのが埋まってた。

これは 子供の足の骨だった。

どんどん掘っていくと 下半身 上半身と 少し離れた場所に頭蓋骨が埋まってた。

K「やっぱり・・・」

Т「殺されてここに埋められたんだな・・・」

俺達がそう言うと 菊乃が泣きながら立ってるんだ。

落ちた首も戻っており しくしく泣いてるんだ。

菊乃「痛かった・・・寂しかった・・・100年土の中で」

菊乃は さっきの怖い感じじゃなくて ほんとに小さな女の子みたいな感じに感じられた。

K「あっ・・・いまの菊乃は 禍々しい気がなくなった」

Т「可哀想に・・・ずっと見つけられず忘れらたんだな・・・」

俺達はその亡骸に手を合わせた。

すると 菊乃はすぅっと消えたんだ。

そのご 警察を呼んで 色々大変だったけど のちのち聞いた話だと 現代の人ではなく 専門家が言うには 江戸時代の人らしいんだ。

昔 この付近では お金持ちの娘が誘拐され 殺されるって事件があったらしい。

この子も 見つけて欲しくて俺達の前に出てきたんだなと思ったんだ。

この子の亡骸は 近くの寺で丁重に弔われた。

それ以降 この少女は出なくなった。

以上です。