これは I先輩が病院に入院した時の体験話である。

この話は 怖いって言うより 心が暖かくなる様な話と言っときましょうか。

ある 冬の寒い時期 I先輩が事故を起こして 病院に運ばれたと聞いた 俺(K)とMは I先輩の見舞いに向かっていた。

国道を NSー1で走っていく。

K 「あのI先輩が事故とはなぁ・・・」

M 「スリップしたら 腕のある人でも無理だわ そろそろ着くぞ」

携帯電話を繋げたまま イヤホン付けて 会話してると病院が見えてきた。

駐輪場に バイクを止めて 受付で 先輩の部屋番号を聞き 先輩に会いに行った。

病室の名札を確認して ドアを開けた。

ガラガラ

個室のベットに I先輩が 足を釣り上げられて横になっていた。

K 「I先輩」

I 「 あっ KにM 見舞いにきてくれたの?」

M 「うわぁ・・・痛そう」

Mが ギブスでガチガチな 先輩の足をみて呟いた。

I 「痛いけど 自分の不注意だから あんな所でスリップするとは思わなかった 急にハンドル取られてさ」

K 「どこでですか?」

I 「〇〇学校の横の直線道路あるじゃない?そこでなの」

その場所は 事故なんて滅多になく 路面も平坦でハンドルなんか取られない ましてや 普段は安全運転している 先輩がなんて信じられんかった。

I 「あの道を 走ってたら 急にハンドル取られて ブレーキ踏んだらスリップして 電信柱に 激突だよ・・・いたた」

そう言いながら 先輩は 落ち込んでしまった。

俺達は しばらく先輩と会話して また来ますと言い帰る事にし病室を出た。

ここから I先輩視線になります。

KとMが帰って 夜になり 就寝の時間になった。

I 「さて 寝ようかな」

暇つぶしに読んでいた 稲川淳二の怖い話をデーブルに起き 電気を消して 目を閉じた。

それから 暫くして 私の病室の部屋の中を歩く小さな足音が聞こえた。

ペタペタペタペタ・・・

裸足で歩いてるようで 可愛い足音だ。

薄目を開けると 部屋の中を 小さなパジャマ姿の男の子がペタペタ歩いてる。

私は 気になってしまい 声をかけた。

I 「僕はどこの病室の子かな?」

その男の子は ビクッと止まって 私を見た。

男の子は 私のベットのそばに ペタペタ歩いてきて ニコニコしていた。

R 「おねえちゃん あし いたいいたいなの?」

I 「うん そうだよ 足を怪我してるの」

R 「ぼくも びょうきでずっと にゅういんしてるんだ」

I 「そうなの?大変だね 僕の名前は?私は Iっていうの」

R 「ぼくは Rだよ! Iおねえちゃん!」

I 「よろしくね Rくん」

私は そのRくんと他愛ない話をしたり 笑あったり暇な夜を楽しめた。

夜も遅くなり 私はRくんに 自分の部屋に変えるように言うと Rくんは また遊びに来ていい?と聞いてきたので 断る理由もなく いいよ!ってニッコリ微笑むと Rくんは満点の笑顔で またね!と言い 病室を出ていった。

I 「これから 楽しくなりそう」

と思いながら眠りについた。
その日から 毎日 Rくんが遊びに来る様になって 嫌な入院の日々に笑顔で満たされる。

昼間は KとMが気てくれて 夜は Rくんが遊びに来てくれていた。

それから 日にちがたち 足の怪我も完治し 退院することになった。

退院の時 看護師さんに Rくんの事を聞いてみた。

そこには驚くべき事実があった・・・ 信じられなかった。

I 「あの看護師さん」

看護師 「はい?どうかしましたか?」

I 「Rくんはどんな病気なんですか?」

看護師 「Rくん? Rくんはもうこの病院にはいません」

看護師さんの反応が意味が分からず 怪訝な顔をしてしまった。

I 「退院したんですか?いつ?」

看護師 「退院・・・そうね Rくんは もう数年前に亡くなってるの・・・入院してた病室はIさんが入院してた病室」

看護師のその言葉に ドカンと頭をなぐられた感覚を覚えた。

数年前に亡くなってる?それじゃ、今まで私と話してたRくんは・・・。

それ以上聞く気に慣れなくて 看護師さんにお世話になりましたと 頭を下げて 病院をでた。

あの子は Rくんは ずっとあの病室に居たんだなと思った。