16歳の夏の日 俺(K)は 友達のMと原チャリに乗り週末の夜を爆走して楽しんでました。

暴走族ではなく 懐かしく思う人もちらほら居ると思いますが NSー1と言うバイクに乗り 〇〇山の〇〇峠を攻めると言う遊びをしてました。

いつも通り 峠の入口付近の広場に集合して 冷たいコーヒーを飲みながら だべってました。

すると 友達が 今から 攻めがてら 山頂の元火葬場いかね?といい 暑かったので少しでも涼めれば良いと思い OKしました。

K 「んじゃ!火葬場まで やるか!」

M 「おう!」

ヘルメットを被り キーをONにして キックでエンジンをかけた。

カシュ! ブァビィィン!

俺とMのNSー1が 静かな山に甲高い咆哮をあげる。

Mが 二本指で いけ行けと合図し俺は 広場から出て スロットルを全開に開けた。

クネクネ曲がるコーナーを 抜かれまいと 必死に走りきった。

しばらく 抜かれ抜き返しを繰り返して 山頂付近に有る もう使われてない 火葬場についた。

K 「いつもは 通り過ぎてたけど マジマジと見ると気持ち悪いな・・・」

M 「だなぁ いこーぜ!」

Mは こういうの得意だから 懐中電灯をつけて スタスタと先に行ってしまった。

K 「こら!まてよ!」

俺も急いで 後について 火葬場に入っていった。

火葬場に入ると 何か涼しく感じた 外はムシムシしてたのに 入った瞬間 冷気を感じて 嫌な気持ちになった。

この歳まで こんな気分にならなかったのに 小さい頃は 見て感じてたけど この6年全く感じなかったのに また変な感じになってしまった。

K 「M!ここやばい!出よう!」

M 「はぁ?なんで?まだ入口じゃないか!」

K 「嫌な感じがする・・・ しかも 火葬場の炉の部屋から」

M 「霊なんていねーよ ガハハ」

と言いながら Mは先に行ってしまった。

俺は忠告したのに!と嫌々ながら 施設に入っていった。

Mの後ろを歩く俺 Mは何も無いのか 平気で歩いてるんだが 俺は 気が気でなかった。

少し前から 耳元で たすけて・・・とか 熱い!熱い!とか 聞こえてきてた。

その声は 焼却炉の部屋に近づくにつれて 大きくなってきた。

M 「ここだな 噂に聞いた 出る焼却炉っての」

K 「・・・・・・」

Mが ドアをガチャ!っと開けて 懐中電灯で中を照らす。

ブワッと 光で中が見えた。

M 「んー何も無い ただの焼却炉だけか」

K 「?!・・・・・・」

Mが 懐中電灯で照らした瞬間 焼却炉の部屋の中に無数の人がこちらを見ていた。

その 数人の人の1人が Mの体の中にすぅっと入った。

俺は Mの方を見ると Mがとち狂ったように 熱い!熱い!熱い!と叫ながら転げ回ってていた。

K 「Mっ!大丈夫か!」

M 「ワシは!死んではいなかった!ワシは殺されたんじゃ! 熱い!熱い!」

K 「完璧に憑依されてる・・・だから 忠告したのに・・・ 俺一人じゃどうしょうもない 先輩呼ぼう」

俺は Mを放置し 施設にから出て I先輩に電話したんだ。

I「もしもし Kどうしたの?」

K 「I先輩 ちょっとMが大変な事になって 〇〇山の火葬場に来てくれませんか?大至急!」

I 「アンタ達 あそこ言ったの?! アソコは行ったら駄目なんだよ それでMはどうなってるの?」

俺は I先輩に今起きた事を事細かく話した。

I 「バカだねぇ・・・分かったわよ 今から行くから 少し待っててね!」

と言い I先輩が電話をきった。

I先輩は 女性なのに肝っ玉が座ってて 頼りになる先輩だった。

俺は 仕方なくMの元に戻ることにした Mを引っ張ってでもこの施設から出さなくてはと思い 戻った。

戻ると さらに大変な事になっていた。

M 「ワシは殺されたんじゃ! 私は 生活苦から自殺してしまった! 俺は 彼女に振られて 飛び降りてしまった!」

Mは 数人の霊に取り憑かれてしまっていた。

K 「M 外にでるぞ!」

Mの 両手を掴み引きずり始めた。

だって Mは体格良いから 重たいんだ。

ズリズリと必死に引きずってる最中も 色んなことを言ってたけどスルーして やっとの思いで 火葬場のエントランスに着いた。

すると 前方にヘッドライトが見えてた 火葬場の前に止まった。

K 「先輩!」

I 「K!!! 早く車に乗せて!!! 早く!!!」

I先輩の怒鳴り声にびっくりしながらMを無理矢理 先輩のワンボックスに押し込めて ドアを閉めた。

俺は 助手席に飛び乗ると 先輩が結構なスピードでUターンして 火葬場から猛スピードで出た。

I 「はぁ・・・何やってるのよ・・・アンタ達は」

K 「すみません・・・」

I 「さっき KがMを引きずってる後から 数人の霊がフラフラと向かって来てたのよ・・・ 」

K 「マジですか・・・今は 声は聞こえるけど 姿は見えないんで・・・ 」

I 「私は見えてしまったのよ・・・ それと 今のMには3体ついてるね・・・ おじいさんと40代のおばさんと高校生くらいの男の子」

俺は 後部座席で唸るMを見てると 時々 ブツブツと何か言っていた。

I 「私の先輩の所に行くよ! Mの中に居る 人達を成仏させてあげなきゃね!」

そう言いながら アクセルを踏み込んで 峠を下っていった。

暫く走り あるお寺に着いて 先輩と一緒にMを下ろした。

何事かと その寺の若い住職がおわてて出てきた。

住職 「何事ですか」

I 「先輩! 後輩が取り憑かれちゃいまして!」

住職 「あら・・・3人も付いてるのね・・・ しかも1人は厄介ね Iちゃん この人を本堂に連れて行ってくれる?私は準備しちゃうから」

住職さんが I先輩に支持を出して 建物に入っていった。

I 「それじゃ、K 、Mを担ぐよ!」

K 「はい! せーの!」

Mを二人で本堂まで 連れていき 住職を待つと 布団をもって住職が現れた。

住職 「これを敷いて寝かせないさ 」

俺とI先輩で Mを横にさせて Mから離れた。

住職 「今から祓うので 出ていってね?」

俺とI先輩は 本堂からでて 階段に腰掛けて待つことにした。

本堂の中から 住職のお経が聞こえ始めた。

般若波羅蜜多心経・・・と聞こえてきた。

お経を唱えてると Mのうめき声が聞こえてきた。

M 「ぎゃぁぁぁ!やめろぉーー!! 」

それでも 動じず お経を詠みつづける。

I 「先輩なら 祓える筈だよ 地獄先生 ぬーべー並にすごい人だから(笑)」

K 「知ってるんですか!? ぬーべー(笑)」

I 「単行本ぜんぶ持ってる(笑) 」

K 「マジですか 心強い」

除霊が終わるまで I先輩と雑談していた。

それから 小1時間たって 本堂のドアが開いた。

住職 「Iちゃん K君 終わったわよ 3人とも 仏様に連れて行って貰ったから大丈夫 今日は M君だけ 本堂で過ごしてもらうから あなた達は 帰りなさい」

と言われて 俺はI先輩に送ってもらって 家路についた。

次の日 Mはピンピンして俺の前に現れた。

Mは 昨日の憑依された後の記憶がないらしく 何があったか聞いてきたが 何もなかったと誤魔化してしまった。

俺は もう2度とあの火葬場に近づくのは辞めようと思いました。

小さい頃に 霊体験なんてもう無いだろうと思ってた俺が馬鹿でした。

これで この話はおしまいです。