今回の霊は 私には無害っぽいと説明したら Kは それならいいけどと 納得したようだ。

I 「心配かけてごめんね? 何かあったら すぐに電話するから」

と伝えて 暫くゆっくりとKと過ごしてると Kの表情が曇ってる。

Kの思ってることは 分かる。

何が 物凄く気持ち悪い感じがしてた。

私は 顔色を変えずに Kと話す。

K 「あのさ I 何か感じないか?」

I 「Kも感じた?多分あの霊が出してるね 物凄く気持ち悪い感じ」

それを言うと Kが同じと呟いた。

2人して同時に 窓に顔を窓に向けると Kが固まっていた。

窓の外に あの霊が私達を睨んでいた。

K 「うっ・・・あれがIが言ってた」

I 「いつもと違う 何か怒ってる」

そう言った途端に 窓ガラスがバリン!と割れた。

割れたガラスが床に散らばる。

K 「やばいよ!I!ここから出よう! 外に車とめてるから!」

I 「分かったよ いこう!」

私は Kに手を引かれマンションから走って Kの車に乗り込んだ。

アクセルを踏み込み走り出した。

K 「まいったな・・・こりゃ」

I 「ごめん 巻き込んで・・・」

K 「気にするなよ さて どうするか」

国道を走ってると 後部のガラスが突然 バンバンバンと叩かれた。

バンバンバンバンバンバン!

Kがルームミラーを見て うあっ!と小さな悲鳴をあげた。

K 「ついて来やがった!」

I 「やっぱり・・・」

私は 後ろを振り向くと 霊が後部ガラスにベタっと張り付いていた。

霊は 顔をグググっとガラスに押し付けて 眼球がギョロギョロと車内を見ているようだ。

I 「流石に困った K このままじゃ 私達危ないかも」

K 「住職さんは?」

I 「行ってみよう!」

Kは 誰も走ってない 国道で サイドターンっていうのかな? ハンドルをグルッて切り サイドブレーキを引いた。

ギャギャ!ブォン!

無理やりUターンして 〇〇寺にむかった。

寺につくまで ずっと 霊の気配が消えずに安心出来ずにKに何かないか不安だった。

何とか 先輩の寺に着き 寺に駆け込み 先輩の住居のチャイムを鳴らした。

ピンポーン!

しばらく待つ・・・。

再び チャイムを押す。

ピンポーン!

I 「いないのかな?」

K 「I これ・・・」

私は Kの指さす方を見ると ドアに張り紙が貼ってあった。

その紙にはこう書かれてた・・・。

私は 急用で出かけております 帰りは明日の朝です 御用の方は 私の携帯にご連絡ください 。

と書かれていて 私達は絶望した。

流石の私も少し怖くなってしまって 固まってしまった。

するとKが私の状態を察知してくれて 手を握って 本堂にいこう!と言ってくたおかげて 硬直した私の体が動いた。

K 「早く!」

Kに引っ張られるままに 私達は 本堂に入り 仏像の前に倒れ込むように飛び込んだ。

K 「はぁはぁ・・・大丈夫か?I?」

I 「だ 大丈夫・・・はぁはぁ」

走ってきたせいか 苦しかった。

呼吸を整えながら外を見ると 生垣の上から霊が見ていた。

霊は ここには来れないらしい。

I 「ここには来れないみたい」

K 「良かった・・・朝になるまで ここに居よう 一応 住職さんに連絡しておこうよ?」

I 「そうね 電話してみる」

私は 携帯を取り出して 先輩にかけてみた。

プップップッ・・・ただ今電話に出られません 御用の方は・・・。

I 「出ない・・・」

K 「仕方ないよ 朝になるまで 居させてもらおう」

そして 私達は先輩が帰るまで本堂で寝かせて貰うことにしたんだけど この安静の時間もそんなに長くなかった。

私達が寝付いて しばらくしてから 閉めたはずの 襖がスルスルと開いた。

I 「うっ!K!」

K 「やっちまった・・・入ってきてしまった」

私達は ガバッと起きがり 本堂の端に2人で逃げるが 霊は 俺達に迫ってくる。

霊の顔が 私達の目の前に来ると 初めて私は恐怖を覚えた。

初めてガタガタと体が震えて怖くて仕方かった。

Kは 私を見て おどろいて居たが ハッと我に帰り 私を抱きしめた。

私を守るように 抱きしめてくれていた。

K 「大丈夫 大丈夫」

抱きしめてくれてるKも震えてるのが分かったが それでも守ろうとするKに こんな私でも嬉しかった。

若い頃 単車に跨り夜中 ブイブイ言わせてきた 私でも 今のKに惚れ直してしまった。

霊は そんな俺たちをみても 遠慮せずに迫る。

K 「仏様!どうか 俺達を守ってください・・・摩訶般若波羅蜜多心経・・・」

私も Kの後に続いて 仏様に願い お経を呟き始める。

I 「 般若波羅蜜多心経・・・」

本堂の仏像に 必死にお願いすると そのお経に霊は 後ずさったっていうより 後ろにすぅっと後退した。

2人で 必死に般若心経を唱えると 霊は苦しいのか 本堂から 生垣の所まで すぅっーーーーっと移動して 後退したまま 生垣を越えて消えていった。

消えた瞬間に 周りの空気が穏やかになったような感じになり 空間が元に戻ったようだ。

K 「居なくなった・・・」

I 「そうね・・・助かった」

私の体から すうっと力が抜けて 疲れからか 倒れるように眠った。

Kも私の隣に横になって眠ったのだ。

それで終われば まだ幸せかもしれない。

次の日の朝 ある音で目が覚めた。

ポクポクポク・・・

木魚を叩く音と何かを言っている声。

目を覚まして 起き上がると 御本尊の前で 先輩が朝のお勤めをしていた。

お勤めが終わるまで 私は邪魔しないように黙って見ていた。

読経が終わり 先輩がこちらを向かずに話しかけてきた。

住職 「Iちゃん 昨日は大変だったね」

I 「はい・・・初めて恐怖しました・・・」

住職 「ふふっ・・・怖かった・・・?」

私はいつもの先輩とは何かが違うと感じた。

Kを見ると 同じように疑問に思ってるようで 頭を傾げてた。

I 「先輩・・・?」

住職?「オレハ キミヲ・・・」

んっ? 何今の声? 明らかに先輩の声じゃない。

K 「何かおかしいぞ・・・」

住職?「オカシイ・・・?オカシイネ・・・」

I 「先輩!どうしたんですか?」

どんどん 先輩がおかしくなっていき ゆっくり左右に体を降り始めた。

どんどん 振り子のように揺れ ついには ブオンブオンと勢いよく左右に揺れ始めた。

K 「 I!住職さんじゃない!」

住職?「アハッアハハハハ!! バレタカ・・・」

そう言うと 住職?がクルッと人間離れした動きをして顔がこちらに見えた。

先輩とは違う 男の顔をしていた。


I 「!? アンタ!」

K 「えっ?」

住職? 「ヤットオモイダシテクレタ?」

I 「なんでアンタが・・・」

顔を見た瞬間 私はこの男の顔を思い出した。

この男は 私がまだ レディース時代に 告白してきた男だった。

霊 「オレハ アナタガホシイ・・・」

と言いながら 霊は 立ち上がり 体を揺らしながら 向かってくる。

I 「来ないで!」

K 「I!こっち!」

本堂の襖を開けようとするが 何故か開かない。

K 「なんでだ!? 開かない!」

I 「うそっ!?」

後ろを振り向くと 霊が近くまで来ていた。

霊 「ホシイ・・・ホシイ・・・」

私達は もう万事休すと思い お互いに抱き合って 気を失ってしまった。

何かユサユサと体が揺れてる。

目を開けると 外は明るく 傍に 先輩が心配そうな表情で座ってた。

I 「先輩・・・」

住職 「IちゃんにKくん どうしたの?こんな所で寝て帰ってきて本堂に来てみたら2人が寝ててビックリしたわよ」

I 「ホントに・・・先輩ですか?」

住職 「何言ってるの 私は私よ どうしたのよ?」

ちょっと 混乱してる私を見たKが 話し始めた。

K 「俺から説明します」

Kが一つ一つ詳しく 先輩に説明すると 先輩は 周りを見渡した。

住職 「だからか 本堂に入ったら 禍々しい気を感じたのね」

と言い 御本尊の前に座り お経を読み始めた。

住職 「仏説 般若波羅蜜多心経 ・・・」

先輩のおかげで 本堂に渦巻く気が清められてくのを感じた。

住職 「これで ここは清められたけど Iちゃんに付きまとってるのを除霊しなきゃね」

I 「お願いします・・・」

住職 「んじゃ 夜にまた来なさい」

と言われて 私は Kのアパートに居ることにした。

前編終です 後半に続く