榛名くんは楓くんのことをあまりよく思っていない。
だから、何をしてくるかわからない。
嫌な予感しかしない。
とりあえず、この電話を早いところ切らないと……
「……ひぇ!?ちょっ!!」
『先輩?』
嫌な予感は見事に的中。
背中を向けていたせいで、近づいてくる気配を感じなかった。
榛名くんが後ろから抱きしめてきたせいで、思わず声が出てしまった。
隙間なく、すっぽり後ろからわたしの身体を包み込んでくる。
スマホを当てる耳のほうとは逆のほうの耳のそばで。
「また楓くんと絡んでんの?悪い子だね」
フッと息がかかってくすぐったい。
声を出して、やめてと言いたいけど、電話越しに楓くんが聞いていると思うと、何も言い返すことができない。

