「そー、いい子じゃん」


満足そうに見下ろす瞳にムカついて、思いっきりにらんでやった。


「悔しい?力じゃ敵わないもんね」


見た目は、そこらへんにいる男の子よりかっこいいけど、こんな最低な性格だったら、絶対好きになるわけない。


さっき少しでもドキッとした自分を殴ってやりたい。


「そうやってにらんでくるの嫌いじゃないよ。むしろゾクゾクする」


両手首をつかんでいるほうとは逆の手で、わたしの髪に触れながら耳にスッとかけてきた。


「ほんと、昔から変わんないね」

「……は?」


昔からってどういうこと?
少なくとも榛名くんと話したのは高校に入学してから今日が初めてだと思うんだけど。


それ以前に会った記憶も全くない。


いろいろ考えていると、急に榛名くんがわたしに全体重をかけてもたれかかってきた。