わたしがその場を離れようとすれば。


「だからー、こっちおいでって言ってんじゃん。いうこと聞けないの?」


ソファに座っていたのに、立ち上がって、無理やりわたしの身体を抱き寄せた。


「ちょっ、ちょっと!!バカ、変態!!触んないでよ!!」


「えー、変態はひどくない?」


ひょろっとした見た目のくせに、意外と力が強くて、振りほどくことができない。



「う、うるさい!あんたみたいな女の子を身体でしか見ない最低な男なんて嫌いなんだから!!」


引き離そうとして榛名くんの胸板を押し返すけど、ビクともしない。


「はいはい、暴れないの。大人しくしないと無理やり大人しくさせるよ?」


簡単に両手首をつかまれて、言葉通り、ほんとに無理やりにでも大人しくさせられそうになって、固まってしまった。