その視線の先には、2人の人物がはっきり見えた。
1人は紛れもなく、榛名くん。
そして、その隣にいたのは……。
「ちょっと、あの女の人誰なの?」
「っ、」
綺麗で、すらっとした、美人な女の人がいた。
少し遠目からだったから、女の人はあまり見えなかったけど、あきらかに年上のような容姿だった。
「雛乃あの女の人知ってるの?」
「し、知らな…い」
目の前で見た光景が信じられない。
この目で確かに見たはずなのに、信じたくない。
「あいつ、雛乃がいるのに何ほかの女に手出してんのよ!」
杏奈が今にも乗り込んでいくような感じで怒ってしまっている。
それを止めようにも、正直それどころではない。
とりあえず頭の中を整理しようとしても、
さっきの光景が何度も頭の中を巡ってばかりで、整理がつきそうにない。