……そっか。
もうあと1ヶ月とちょっとしか榛名くんと一緒に過ごせないんだ。



別に同居が終わるからって、わたしと榛名くんの関係が終わるわけじゃないことくらいわかっている。



だけど、今までずっと一緒に住んで、一緒の時間を過ごすのが当たり前だと思っていたから、底知れぬさびしさに襲われそうになる。


わたしの生活に榛名くんがいることが、当たり前のようになってしまっている。


「……な…の」

「…………」


「雛乃ってば!」

「……あ、ご、ごめん!」


いけない、杏奈と買い物に来ていたことをすっかり忘れて自分の世界に入り込んでしまっていた。



「え、えっと、どっちがいいかだよね?」


すぐに杏奈が持っていた2枚のブランケットに目を向けた。


「いや、違う違う!」

「え?」


「ちょっ、あれ見てよ」

「?」


杏奈が驚いた顔をして指をさして、そう言ったのでそちらのほうに視線を向けた。