「そんなんただの噂じゃん。誘われた覚えもないし、オーケーした覚えもない」
「ほ、ほんとに……?」
さらっと答える榛名くんを疑いの目でジーッと見つめる。
「ひなはさー、僕の言うことよりただの噂話を信じるわけ?」
妙に"ただの"を強調されたような気がする…。
「だ、だって、すごく不安なんだもん……。ほんとは、榛名くんが涼川さんと付き合ってほしくなかったし、夏祭りだって2人で行ってほしくなくて……っ。でも、それを言えなくて……っ」
気づいたら、瞳に少しだけ涙がたまっていた。そんなわたしの様子を見て、榛名くんが優しく抱きしめてきた。
「……あー、ごめん。不安にさせて、泣かせて。イジワルしすぎた」
優しい声のトーンでそう言いながら、
おでこに軽くキスを落としてくる。

