幼なじみの榛名くんは甘えたがり。




「な、なんで付き合わなかったの…?」

「なに、付き合ってほしかったの?」


「そ、それはやだ……」


わたしが恥ずかしそうに榛名くんの顔を見ると、その顔が満足そうにフッと笑った。



「昨日言ったじゃん。押してダメなら引いてみろって。雛乃がいつまでたっても自分の気持ちにはっきりしないから揺さぶってみた」



やっぱりわたしを試していたなんて。
榛名くんのやることはずる賢いような気がする。



「で、でも……、昨日の夏祭り…涼川さんと2人で行くって約束してたんじゃないの?」


あくまで女子たちの噂だけど、こういう噂は嫌でも信じてしまう。



「……そんな約束した覚えないけど」


「だって、女の子たちが噂してたもん…。涼川さんが榛名くんを夏祭りに誘ったって」


こうなったら、自分が納得するまでしつこく聞いてやろうって思ってしまった。