恥ずかしくなってすぐに顔を前に向けた。
「へー、それって妬いてんの?」
「っ、ぅ……や……」
後ろから指で頬をツンツンつついてくる。
顔は見えないけど、いまの榛名くんは絶対に楽しそうに笑っていると思う。
「あー、かわいい」
「ぅ……」
ギュウッとさらに強く抱きしめてきた。
そして衝撃なことを言う。
「さっき言ってたチサさんってさ」
「う、うん……」
緊張して、ゴクッと喉が鳴る。
「僕の母親のことなんだけど」
ん……?
んんん???
「……は、母親!?!?」
えっ、はっ、ちょっ、えぇ!?
母親!?
いや、ちょっとまってよ、え?
あまりに衝撃的で、理解に時間がかかり、
身体の向きをぐるっと変えて、榛名くんのほうに向き直った。
「……そんな驚く?」
「お、驚くよ…!」

