「……っ、き……だから」
せっかく気持ちを決めて好きと言ったのに、途切れてしまって、おまけに声が小さすぎて語尾しかはっきり伝えられなかった。
「ん?」
やっぱりうまく聞き取れなかったみたいで、
榛名くんは首を傾げている。
あぁ、もう……。
ぜんぶ伝えてどうにかなってしまえ。
「……榛名くんのことが、好き……っ」
その直後、夜空に大きな花火が打ち上げられた。
ドンッと大きな音を響かせ、暗かった周りが明るくなり、夜空には色とりどりの花火が見えた。
今のはもしかしたらタイミングが悪かったかもしれない。
今度こそはっきり好きと言えたものの、ギリギリ花火の音と重なってしまって、榛名くんの耳に届いていないかもしれない。
心配して、榛名くんの顔を見た。
さっきまで薄暗くて、あまり見えなかった榛名くんの表情は、今もまだ夜空に打ち上げられている花火の光のおかげでよく見える。

