「この子すごく性格悪いんで、やめといたほーがいいですよ?」


さ、さっきから異常なまでに嫌味を言われるんですけど……。



ヒーローみたいに助けに来てくれたのかと思えば、嫌味満載なことばっかり言われてとても複雑な気分。



「んだよ…彼氏持ちかよ」


「だったら最初から言えよな」



2人組の男の子たちは榛名くんのほうを見て、敵わないと思ったのか、悔しそうにそんなセリフを吐いて、人混みに消えていった。



いや、というか彼氏じゃないんですけど…。
って、今はそんな余計なことは言わなくていいか。



なんだか、この状況にどうしたらいいかわからず、ただ榛名くんに抱きしめられたまま固まっていると。



「……ちょっとついてきて」



若干呆れた口調で榛名くんが言って、
わたしの手を強引に引いて、人混みの波をかき分けていく。


そんな榛名くんの後ろに、ただ黙ってついていった。