幼なじみの榛名くんは甘えたがり。




さっきだって、今だって、
榛名くんのせいで、乱されて振り回されてばかり。



「不思議ですよね。人を好きになると、その人のことで、これでもかってくらい感情が振り回されてばかりで」


楓くんの言葉に、ドキッと大きく心音が聞こえてきた。


一緒にいる時は、一緒にいることが当たり前で、そばにいなくなって初めてさびしさを感じたり。



相手の意外な一面とか見つけると、知らなかったことを知ることができて、少し嬉しくなったり。



普段から、面倒くさがりやで、自分のやりたい放題にやるくせに。


意外と心配性だったり、優しかったり……。



自分以外の人を見ていると思うと、胸の奥がなんだか騒がしくなって、張り裂けるように苦しくなったりする。



「いま、先輩は誰を思い浮かべました?」


思い浮かべたのは、たったひとり。