楓くんが抱きしめる力を緩めてくれて、
いったん深く深呼吸をして、自分を落ち着かせる。
そして、近くにあった壁にもたれかかって、
その場に座り込んだ。
泣いたり、苦しかったりして、
少し落ち着いた今、なんだかドッと疲れが出てしまい、身体の力が抜けた。
座り込んだわたしの隣に、楓くんも同じように肩を並べて座った。
「なんか楓くんには弱いところばっかり見せちゃってるね……」
空を見上げながら、隣にいる楓くんには目線を合わせずに言った。
「……いいんじゃないですか。そういうところ見せるの俺だけで」
もし、楓くんの彼女になったら……。
きっと、大切にしてくれて、
わたしを泣かすようなことは絶対にしないだろうな……。
楓くんは昔から気づいたら、そばにいてくれて、困っていたら必ず助けの手を差し出してくれる。

