わたしが嫌だと言わなかったから、
榛名くんは涼川さんと付き合ってしまうのだろうか……とか。
じゃあ、この前のチサさんの存在は……とか。
様々なことが駆け巡るけど、ぜんぶ榛名くんのことばかりだっていうのが、嫌になりそう……。
あんな最低な人のことなんか、何とも思ってないはずなのに……っ。
「あの……楓くん……っ」
「……どうしました？」
「どうして、助けてくれたの……っ？わたし、楓くんのこと避けたし、口も聞こうとしなかったのに……」
「どうしても、もう一度話がしたくて。それであとを追いかけたんです。
そしたら偶然さっきの場面に遭遇して。先輩が泣きそうになってたから、思わず止めに入りました。勝手なこと……でしたか？」
勝手なことなんかじゃない……っ。
そう意味をこめて、首を横に振った。
