目の前には、
榛名くんと、女の子がいた。
しかも、女の子が榛名くんと抱き合っているという場面を目撃してしまう始末。
胸の音が、いちだんと大きくなった。
その音は、自分の耳に響いてくるくらいまで大きく、ドンッと聞こえる。
何も衝撃は受けていないのに、自分の胸の音があまりに音を立てすぎて、身体全身が震えているような気がした。
早く、この場から去らなくてはいけないのに……。
わたしの身体は固まって、止まったまま、動こうとしない。
目線をそらそうとしても、一点を見つめたまま、そらすことができない。
……まるで、金縛りにでもあっているかのように、自分の身体がどこもかしこも動かなくなってしまった。
そして、ついに向こうにわたしの存在が見つかってしまった。

