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朝ごはんを作り終えて、テーブルに並べていると、リビングの扉が開いた。
誰かなんて見なくてもわかる。
ここにいるのは、わたしと榛名くんだけだから。
まだ眠いのか目をこすりながら、いつも通り榛名くんは自分の席についた。
わたしも料理を運び終えて、テーブルを挟んで、榛名くんの正面に座る。
そして、いつも通りの朝ごはんが始まった。
「トマト……いらない」
榛名くんがサラダに入っているトマトをフォークでよけて、わたしのお皿に乗っける。
まるで、この前の出来事は何もなかったかのように、いつも通りの日常になっている。
わたしは、その切り替わりに全くついていけない。
そして、あっという間に朝食の時間は終わり、食器をシンクに運んで洗う。
わたしに遅れて数分、榛名くんが食べ終わって、食器をこちらに運んできた。