カーテンを開けようと、手でつかむけど、
なかなか開けることができない。


握ったまま、固まって動けない。



勢いでここまで、来てしまったけど、
今さらながら、冷静な思考が戻ってきて、
動きを制御してしまう。



カーテン1枚越しにいる人物と顔を合わせれば、自分がどうなるのか、予想ができないのが怖いんだ……。



たぶん……もうわたしがここにいることは
扉を開けた音で気づかれたと思う。


だから、逃げることはできない。



そして、わたしを逃さないように……


「……ひーな、おいで」


カーテン越しにそんな声が聞こえて、思わず開けてしまった。



その先に見た光景は、
ベッドに両手をついて座りながら、わたしを待っていた


……榛名くんの姿があった。



わたしの姿を見るなり、すぐに手招きをして、ベッドのほうへ誘ってくる。


まるで、わたしが来るのを確信していたかのような顔をして。