幼なじみの榛名くんは甘えたがり。




ギュッとスマホを握りしめる。


いきなり、こんなメッセージを送ってきて、何を考えてるの?からかってるの?って思う気持ちと……。



わたしじゃなくても、他の女の子に頼ればいいじゃんっていう、醜い気持ちと……。



もしかして、ほんとに体調が悪くて、わたしに助けを求めてきているのかもしれないと、心配する気持ちと……。


いろんな気持ちが複雑に自分の胸の内で交差する。



「雛乃ー?もうすぐ競技始まるよ?」


いつまでも、コートに入らないわたしに杏奈が声をかけてきた。


頭では、迷うに迷って、行動に移すことができないと思っていたのに……。


気づいたら、身体は勝手に動き出そうとしていた。



「あ、杏奈……、ごめん。わたし、ちょっと抜ける……」


「え?ちょっ、雛乃!?」


あわてて引き留めようとする杏奈の声を無視して、スマホを握りしめてバカみたいに走り出してしまった。