「い、行きたいところって、どこに?」
「んー、ついてからのお楽しみってことで。
どうですか?今日、他に予定ありました?」
予定はないけど……。
でも、今日はできるだけ外に出たくないっていうか、誰にも会いたくないっていうか。
正直、朝起きた時の顔は他人に見せられるものじゃなかった。
今だって、まぶたの腫れもひいたのかわかんないし。
鏡見てないから。
けど、1人で家にこもっていても、余計なことばかり考えてしまうかもしれない。
わたしが答えを出すのに迷っていると。
「もし、雛乃先輩が1人でいるのが嫌だったりするなら、俺と気晴らしに出かけません?」
まるで、わたしの心を読んだように、柔らかい笑顔で言った。
その問いかけに、ゆっくり首を縦に振った。