「は、はい……どちら様……」
扉を開けて、相手の様子をうかがいながら聞くと驚いた。
「あ、雛乃先輩出てくれた」
そこには、普段の制服姿とは違って、
私服姿でわたしの目の前に立っている楓くんの姿があった。
「え……な、なんで楓くんがウチに!?」
突然家に来るからびっくりして、
玄関先だっていうのに、大声を出してしまった。
「メッセージ送りましたよ?今から家に行っていいですかって」
えぇぇ、そんなの寝てたから確認してないし!
「ってか、先輩寝起きですか?」
「っ!!や、えっと……」
すぐに顔を下に向けた。
ただでさえ今日は顔がひどいのに。
おまけに飛び起きてしまったから、髪の毛グシャグシャだし……。
今さら無駄な抵抗として、指で必死に髪の毛をとかす。